2006-09-13から1日間の記事一覧

5 エクスキューズ

言葉が個人に基づくというのは事実である。それはどうしようもない。全く無意味な文章も、ただの引用文も、それをそこに書いた者の意図を見せつけずに提示することはできない。言葉を吐くということは、自分の世界観を提示するとみなされるということなのだ…

4 ニーチェのパースペクティヴィズム

4-1 パースペクティヴィズムによる善悪の彼岸 「すべての価値観は、その生物個体の観点に依存しており、相対的である」。これがパースペクティヴィズムの根本命題である。 パースペクティヴィズムは、相対主義の一種である。相対主義は、主義として主張され…

3 ウィトゲンシュタインの言語ゲーム

3-1 論理哲学論考の言語の不完全性定理的把握 論理哲学論考は、「はだは証明できる」を公理とした綺麗な言語運用系である。そこでは、超越論的主体が世界を構成している。「はだは証明できる」を公理として付け加えた言語運用系は、そもそも主体同士のコミュ…

2 ラカンの鏡像段階理論

2-1 ラカンの鏡像段階理論の概念のパラドックス的把握 鏡像段階とは、幼児が相互主観的な関係の中で自我を形成する生後6ヶ月から18ヶ月頃までを指す。(図6) 鏡像段階以前では、子どもは自分の身体をまとまった全体としてではなく、寸断された身体として体…

1 ゲーデルの不完全性定理

1-1 結論「言語は不完全であり、いつ矛盾するかわからない」 言語運用のきちんとした基礎となるのは、言語の不完全性の明晰な論証である。それはゲーデルの不完全性定理を言語に応用したものだ。ゲーデルの不完全性定理は、数学的実在を記号の体系によって記…

0  序文 思考と存在と実在

思いうることは存在しうる。 まず、存在が定義されている。ここにあるこの世界、それが存在である。この成立している現実に対して、成立していない数多の可能世界がある。可能世界とは、例えば、「今ここではなく他の場所に私がいる世界」「私が猫である世界…

言語運用の基礎 目次

0 序文 思考と存在と実在 1 ゲーデルの不完全性定理 1-1 結論「言語は不完全であり、いつ矛盾するかわからない」 1-2 集合論におけるラッセルのパラドックスと 概念の概念論的パラドックス 1-3 数学の不完全性定理の簡易な証明と言語の不完全性定理の簡易な…