【哲学する会計4】:意味論と測定

会計では、一般に、「何時」ということは認識、そして「いくら」ということは、測定と言われる。もっとも、このうち会計上の認識は、測定可能性によって制約されるので、認識をも含めて測定と言われることが多い(広義測定概念)。

「現代会計論」の中で笠井昭次は上記のように述べている。企業の経済活動をいかにして記号化して、伝達可能なものとするのかという情報の生成の仕方についてである。これを著者は意味論と呼んでいる。経済の記号素を収集しメトノミー的に変換して、つまり取引的に、できれば貨幣的に、変換して記帳するやり方を意味論と呼んでいるのである。要は、企業の経済活動を勘定に記録することを、会計の意味論と呼んでいる。これは、言語学の意味論・構文論・語用論の区別から持ち込まれている、会計の言語学的な把握である。
つまり、意味とは測定である、との測定主義的な見解をとっているのである。これは会計のセントラルドグマの一つとなる概念である。会計上の認識は、測定可能性によって制約されるのである。(不良債権の査定やブランド価値の査定を想起するとよくわかる)
勘定分類と基本的等式は、認識と測定(広義の測定)の段階で成り立つ。勘定が意味論的な働きを果たしていて、それがプロセスの中で処理されるのである。その後、記録されて仕訳つまり分類されて、要約つまり財務諸表作成される。