ブランディングとマーケティングについて

最近、コトラーマーケティングの教科書が、ブランディングの立役者のケラーとの共著になって、第12版にアップデートされて、それが翻訳された。
少し古いが、以下のインタビューが参考になる。

ブランドマネジメントについての恩蔵直人インタビュー

――マーケティングの本質というのは、何なのでしょう?
 顧客価値を創造して、その顧客価値を伝え、説得することです。価値をつくるだけではダメで、それを消費者に伝えなければいけない。そこに物流や流通が出てくるわけです。そして、伝えた価値を消費者が正しく理解するためには説得しなければいけない。この顧客価値の説得は特に大事な部分です。そこに、営業マンや広告などを使ったコミュニケーションの必要性が出てくるわけです。顧客満足というのは、むしろその結果です。
 価値を作って、伝えて、説得する。その一連の仕組みを作り上げることが、マーケターの仕事の本質だと思うのです。

現代インターネットフリーク風に言い直すと、マーケティングとは、ユーザの感じる使用価値=よろこびやここちよさやすてきさや便利さやらくちんさやきれいさ等々を、ユーザの心の中につくり出し、ユーザのなんらかの欲望に火をつけて、ユーザにお金を払ってもらうことである。

難しいのは、ブランドが重要になる財では、情報財としての側面が、商品に大きく出てしまい、情報化した商品のコモディティ化が進むことである。情報財の特性は、うまく利用しなければ、商品をコモディティ化するのである。
だが、コモディティ化の議論は、ブランド化による商品の脳内での認知的な寡占市場化をふまえていない。メガブランド戦略は、脳内での記憶リソースの奪い合いを行う戦略なのである。
検索して購入してもらう商品では、それが顕著に売上の量につながってくるし(AISAS)、店頭で購入してもらう商品であっても、ユーザは認識しているものの値段を見比べて触ってみて購入するのである。(AIDMA+)
そして、商品から収益を上げる際の収益ドライバは、ビジネスモデルや製品アーキテクチャの利用と、会計管理とファイナンスによって、制御できる。
製品の魅力に加えて、ジャストインタイム的な考え方で、契約によって、オプション価値をいろいろなところから、かき集めることと、ユーザ起点の考え方で機会費用や在庫リスクを最小化すること、この二つが、私の考える最近のブランディングマーケティングを理解するポイントである。SCMやCRMやPOSといった情報技術の活用は、物販においても既に致命的なところまで進んでいるのである。

資生堂のUnoのメガブランド化のゆくえについて、引き続き考えているのである。マンダムに加えてDHCとも本格的に競争するようである。私の近所の店では、コンビニとドラッグストアでは25%くらいの価格の差がある。
本日見たところ、コンビニでの棚が拡大していた。売れ行きを見守りたいところである。