auの端末開発戦略と価格決定の現状

端末の長期使用が可能なように、バッテリや電源ケーブルの共通化と安値化を進めるというauの端末開発戦略の一部は先見的だと思う。auについては、ソフト開発基盤の共有がよく言われるが、ハードウェアの標準化による取り替え可能部品の安値化は重要だと思う。
これは、買い換え需要を減らしてしまう端末メーカーにはさほどメリットがなく、同じものを長く使えるユーザとキャリアにのみメリットがある。「ソニータイマーとしてのバッテリー」なんてことを言われていた携帯電話のバッテリーだけど、そうではなくなってきたようだ。
ちなみにinfobarは1000ポイント(定価3500円、ポイントだとバッテリーだけ安く買える)でバッテリーを購入したばかりであった。補完品の価格決定というのは面白いテーマで、「プリンタとそのインクカートリッジの価格設定&製品アーキテクチャを変化させることで収益可能性を変化させることができる(「イノベーションの収益化 by榊原清則」)」という話があるのだが、端末費用&通信料(ARPU=通話料&パケット通信料)の価格決定においても、このような考え方がとられているのではないだろうか。販売奨励金の減少と同時に、端末補完品(バッテリーと電源ケーブル)の値段を下げるということである。そのことで端末の使用期間を長くすることができる。つまり端末メーカーとキャリアの収益可能性が、製品アーキテクチャ→ビジネスアーキテクチャと影響を与えて変化する。ゆえに端末メーカーは粗製濫造端末を薄利多売するのではなく、高付加価値端末を2〜3年にわたって使ってもらうような設計を行うことで収益をあげようとするのだろう。キャリアは販売奨励金が減るので当然儲かる。でも、これって出荷台数や売り上げよりも利益っていう縮小均衡型の戦略だよなあ。携帯電話は現状の価格設定や用途では飽和市場だということか。まあ、表面的には長く使える環境にやさしい携帯電話って側面も大きいとは思う。「白ロムの回収」も環境対策という側面を全面に押し出していたし。ソフトウェアバグにバッテリー劣化というユーザーの不満要因への対処という面は単純に好ましい。
この先には、「ガワと通信モジュール」か「端末とIDカード」の分離があるのだが、そのような製品アーキテクチャは日本ではまだとらないようだ。(海外ではかなりそうなってる。また日本でもIDを使うというつくりは同じにしている)