各論文解説

skyflash

ここ数日の間、今までに書いた論文の棚卸しを行ってきました。
以下、各論文についての著者解説を行います。


  1. 水野創太、「言語運用の基礎」、高校時卒業論文、2001
  • 高校生のときにSFC小論文の学習(成功)とSFC-AO入試(失敗)の資料として書きました。
  • 分析哲学のスタイルを踏襲しています。圏論みたいな構造の同型性の指摘+倫理学ゲーム理論という展開です。
  • 査読は高校のときの倫理・政治経済の教員の方=担任と、親でした。
  • 名前が挙がっている哲学者の書以外では、「ゲーデルエッシャー・バッハ」「<子ども>のための哲学」「郵便論的存在的」「合理的な愚か者」「千のプラトー」などが参考文献として追加できます。
  • 精神分析的なモデル論のところでは、ジャック=ラカンがモデルとして利用しやすいので利用していますが、フェリックス=ガタリやエリック=バーンの影響の方が大きいです。
  • システム論・意思決定理論については、この時点では学習中でした。
  • 政治哲学・政策学・経済学・経営学・心理学を、この後学習しました。哲学的にも少し変化し、デレク=パーフィットの「理由と人格」での提案をかなり勘案した哲学観となっています。
  1. 水野創太、「お金とは何か」、懸賞論文、2002
  • 消費者金融サービス懸賞論文サイトにあるように奨励賞でした。
  • 10万円分の図書券をもらいました。出版権を譲渡しているので、このブログにコピーはできません。pdfファイルなので読む際にはご注意ください。
  • 高校の後輩も入選しているので、学校で書いたように思われるでしょうが、実は僕は勝手に書いて応募しました。受賞者リストを見て驚きました。入選は同じ高校の他の方がいたことに助けられたものでしょう。私の論文の高校生らしくない現実認識は何なのでしょうか。
  1. 水野創太、「Is Outsourcing good for the US and us?」Stanford University ALC Program Research Paper、2004
  • 理想としては"Economist"に出てくるようなユーモアに満ちたpaperを書きたいと思っていました。
  • ソリッドなテクニカルライティングの手法に従って書いています。
  • 最後のベーシックインカムについてのところは、負の所得税とすべきでした。
  • ポイントは、日本人の私が、USについて書いているってことです。
  • アウトソーシングは日本にとっても、とても重要です。US is us?
  1. 田宮正治、加藤隆、水野創太、「ウェブ上の小売業のビジネスモデル研究」、慶応義塾大学総合政策学部卒業研究チーム参加、2005
  • 2004-5年度にも卒業研究を榊原研究会チームで行っています。これは実質的に「ネットプライス」の事例研究でした。研究メンバー田宮正治主筆となり卒論提出しました。ウェブ上にはありません。
  • 「受注後発注によって商流を逆転させて、在庫リスクを減少させることで、レバレッジがかけられるので、ウェブ上の小売業は儲かる」という命題を、いくつかの事例をもとに定式化、ネットプライスの事例を基にして、鍵となる成功要因を明確にするという研究でした。(もとになる命題自体は佐藤輝英さんによって自社IRサイトに書いてあります。それを分析して、先行研究や他事例と比較して一般のウェブ小売店でも利用可能な含意を抽出したものです。)
  • その後、追跡調査をきちんとしていませんが、「バイマ」の出現や、ネットプライスのサイトリニューアル、ビッダーズのモバオクの伸長などがありました。今はどうなってんでしょ。
  1. 水野創太、「コンテンツ生産にインセンティブを与える方法の分類と開発〜ミズノオークションをつくる〜」 "Thinking through Making Mizuno-Auction"、慶応義塾大学総合政策学部卒業制作、2006
  • 卒業制作@国領研究会提出です。次世代メディア研究会での議論と国領研究会での議論を踏まえて、考えたものを、自分の率先して考えたい部分だけに絞ったものです。
  • 寄付を集めて配分する手法の研究として、様々なものに応用可能なのではないでしょうか。
  • 税金の配分方法論としては公共選択論や税金の死荷重理論がありますが、寄付の集め方と配分方法は未だ研究が進んでいません。
  • 数学的な定式化をしていません。コードも書いていません。誰か数学的定式化してくれませんか?「公共財の提供方法の経済数学的比較」のような論文が書けますよ。排出権取引とかで使われる数学で定式化できると思います。
  • オークション理論やゲーム理論は、やっぱり、数学が必要だと思った次第。自分では、式立てれないし、式書いてもそれが正しいかがよくわからんのよね。
  • ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団に売り込みたいと思って書いてました。
  • これの応用として、「キックバックオークション」というのも考えました。利権アクターの行動モデルとして、利権アクターは自己の労働力を支払いとして、政策に対してミズノオークションを行っているというものです。利権アクターによるロビイングの競い合い→一つの利権アクターによる投資権益の確保(キックバック)&それ以外の人の公共財としての政策の利用といったものです。
  • 各アクター(NGO代表、政府機関代表、国連機関代表など)に、オークション予算を渡して、自分の団体以外に寄付させる。その際に、「ミズノオークション」モデルを採用して、「キックバックオークション」を行うことによって、自分の団体への寄付も確保させる。とすれば、各アクターの多様性が確保されていれば、なんぼかましな寄付配分ができるような気がします。ゲイツ独裁による神官の決定をしたデルファイ法による各アクターの決定を行った後に、キックバックオークションをやればよいと思います。また、寄付投資行為によって、各機関の連携もうまくいくかもしれません。投資伝播性(鈴木健)を加えるかどうかは好みによります。
  • 寄付をしようという剰余は太陽がある限りこの世に存在するでしょう。投資をしようという剰余があるのですから。寄付が消費/蕩尽に終わらずに、公共財の生産に使われることが前提となります。(まあ、社会福祉も公共財だとされていますし、消費と公共財の生産の境目は曖昧ですが)